ペイ・フォワードと言う映画をご存じでしょうか? 中学生になった生徒たちに、社会科の先生が出した課題が、「世の中をよくするためには何をしたらいい?」という事。この大命題に、主人公トレバー少年が出した答えが、「人から好意を受けたらほかの人へ回す」と言うものでした。善行の連鎖ですね。トレバー少年はこれを実践しようと模索しますが、なかなかうまくいきません。しかし、彼のひたむきな姿を見た人達がそれに倣い、彼の知らないところで、こうした善意の輪が徐々に広がっていきます。とても心温まる一方で、考えさせられる映画でもありました。
善行とは言わないまでも、1つ思い出した事があります。それは都営地下鉄大江戸線の都庁前駅での事。ご存じのように都庁前駅は、時計回りと反時計回りの電車が交わるターミナル駅です。私は反対回りの電車へ乗り換えるために、プラットフォームの反対側に停車中の電車に乗り移りました。
すれ違いに、若いカップルが降りて、私が乗ってきた電車の方へ向かいました。さて席に着こうとふと座席を見るとスマホが1つ置き去りになっています。座席の位置から明らかに先ほどすれ違ったカップルのもの。その瞬間、私はそのスマホを拾い上げ、今まで乗ってきた電車の方へ速足で戻り、おーい!と声をかけて振り向いた先ほどのカップルにスマホを渡しました。言葉を交わす間もありませんでしたが、踵を返した私の背後で、何度も「ありがとうございます!」の声が響き、私が戻ってほどなく、両方向の列車がほぼ同時に発車しました。 お忘れ物にはご注意を。
心温まる記憶もあります。4年くらい前でしたか、アマゾンのCMを覚えていらっしゃいますか?
青年(孫)がバイクでおばあさんの家に立ち寄ります。おじいさんは亡くなっていておばあさんは一人暮らし。寂しそうです。物置でほこりをかぶったバイクを発見。居間にある写真には若かりし頃のおじいさんとおばあさんのバイクツーリングの写真。笑顔で写っていて、楽しい思い出だったという事が写真から伺えます。しかしおじいさんは亡くなっているので、思い出として時が止まっています。そこで青年は思いつきます。ある日、孫が送ったヘルメットがおばあさんのもとに届きます。事情が呑み込めないでいるおばあさん。次の瞬間、そのヘルメットをかぶって、孫にしがみつき、バイクに跨るおばあさんの笑顔。おじいさんとツーリングに出かけた楽しい思い出を、孫が再現してくれました。満面の笑みのおばあさんを乗せ、バイクは菜の花畑が広がる道を一直線に走って行くところでCMは終わります。とても感動的なCMだったのでよく覚えています。
一口に言って、「人助け」にも色々な形や規模があると思います。大きな志を持って、ボランティアに加わる方もいらっしゃるでしょう。なかなか厳しく、そうも言っていられないご時世かも知れませんが、「困ったときはお互い様」の気持ちは、心の片隅に持っていたいですね。
良い一日を!
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