5月病にならないためにーアンビエントのすすめー

midnight

1980年代の後半頃からだったか、一時期 アンビエントという言葉がよく聞かれました。音楽の世界では、環境音楽とか癒しの音楽とか言われ、リラックスするための音楽として、睡眠や精神の安定を促すために、時には穏やかに、時には瞑想するような音楽が好んで聴かれていたと思います。

私は当時、社会人として数年目で、ストレスがたまり、なかなかやり場のない気持ちでおりました。そんな折、知ったきかっけは忘れましたが、安らぎを求め、1件のバーに出入りしていた事を思い出します。

今はすでにありませんが、そのバーは、渋谷から国道246号を青山トンネルの方へ上がっていく途中のビルの地下にありました。看板も何もありません。入り口は暗くて、営業しているかも分からない雰囲気です。店の名前は「タントラ」と言いました。タントラヨーガのあの「タントラ」ですね。中に入ると、ほのかな光の中、正面に大きな仏像が安置され、どことなくお香の香りが漂います。

店員さんに、静かに案内されると、店内は広い土間になっていて、奥の方にはカーテンで仕切られ、ゆったりしたクッションが置かれた別室のような空間が見え隠れします。店員さんは土間に、ござのようなマットを敷き、一言どうぞお座り下さい。そして向き合った友人との間に、古い骨董品のようなちゃぶ台を置き、私たちに和紙でできたメニューを渡しました。

おつまみは一般的なものでしたが、お酒の中にはトカゲ酒やイグアナ酒がメニューにあって、興味本位で注文してみましたが、口当たりがよいので定番の飲み物となりました。(タンブラーの中に、トカゲの部位とかが入っているわけではありません)

ちゃぶ台にろうそく1本ですので、少々込み合ったとしても、店内はかなり暗いです。しかしこの異空間ではたいそうリラックスできたのです。おそらくBGMとして流れていた音楽の影響もあったのでしょう。

そこの店内では、エニグマ や アディエマス、ウィリアム・オービットなどの音楽が流れ、瞑想気分に浸れました。特に、アンビエントの代表格と言えると思いますが、エニグマの MCMXC a.D. は、ハウスのリズムも取り入れられ、構成も完ぺきなアルバムだと思います。出だしのあたり、英語で ”明かりを消して。深呼吸して。リラックスして。”と女性の囁く声で曲が始まります。全体を通して流れるグレゴリオ聖歌が音の層を厚くし、中世のヨーロッパを旅しているような感覚になります。(↓画像のCDです、ストレスがたまった時におススメです)

そのような一見して怪しげな雰囲気の店でしたが、宗教の勧誘があるわけでもなく、店員さんも多くを語らず一貫して静かな雰囲気が保たれ、店を出ると多少なりともストレスから解放されたのを覚えています。私の癒しの空間でした。

 

良い一日を!

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