JR品川駅から、朝7時台の新幹線に乗り込みます。大阪で午前中の会議などに合わせると、だいたいこのぐらいの時間に新幹線を利用するビジネスマンは多いのではないでしょうか?新横浜から同僚が乗り込んでくる頃には、満席になります。出張の方が多いせいか、車内は少々張り詰めた空気で、さっそくパソコンを開いて業務開始のご同輩も見受けます。
一変して帰りの新幹線は、もちろん残務処理の方もいらっしゃますが、若干お酒の匂いなども漂いながら、一日頑張った人たちの安堵の空気が漂います。お疲れ様です。
商談が重なるなど、大阪に残ってホテルで一泊という事もありましたが、ある時私は、日帰りの予定であったのが、お誘いがあって新幹線を見送ったこともあります。帰りの新幹線はオープンチケットになっているので、乗る間際に列車を指定すればよいのですが、週末と重なってか、とにかく飲もうという事になり、大阪での長い夜を過ごすこととなりました。
当時の大阪支店の部長さんは酒好きで、大変陽気な方でした。支店の近くには馴染みの居酒屋があります。ここでは、最初の一杯(大ジョッキ)は無料です。東京の私には驚きですが、このようなサービスは大阪ではあり得るようです。部長さんの行きつけは心斎橋にある小料理屋で、店内は広くありませんが、お店の人とゆっくり話ができるアットホームな雰囲気でした。モツと卵黄を煮込んだおつまみが絶品でいまだに覚えています。
と、次は地元で飲もうという事になり、タクシーに乗り込みました。私は土地勘がまったくなく、伊丹空港の少し先という事で、高速道路に乗ったところまではよかったのですが、当の部長さん、熟睡されてしまいました。タクシーの運転手さんがおっしゃるには、大阪市内では走った距離に関係なく料金に上限があるそうなのですが、すでに宝塚市に入り、いくら何でもまずいだろうという事になり、高速を降りて部長さんが目覚めるのを待ちました。ごめんごめんと目覚めた部長さんとタクシーを降りたのは、阪急線のとある駅。そして案内されたのは、地元の立ち飲み屋さんでした。
店内はなかなかにぎわってます。皆さんよくしゃべります。部長さんもすでに話の輪に加わっていました。女将さんは注文に関係なく、どんどん料理を作っている感じです。でき上がったおつまみは、食べる人の意思表示に関係なく、お客さんの口へ放り込んでいきます。”食べてみい”と私の口にも入ってきました。笑えます。しかし自慢の手料理なのでしょう、どれも美味しく感じました。
私が東京から来たという事で、質問が飛び交いました。東京のどこ?目黒です。知ってる知ってる。中目黒に行ったことある。目黒と中目黒はどう違うん?今日は帰らないの?どこ泊まるん?泊まるところが決まってないとわかると、お客さん同士がホテル探しを始めました。江坂と言うところにあるホテルに空きがあるそうで、なんと予約を取って下さいました。しかもタクシーまで呼んで頂きました。
やがてタクシーが到着。丁重にお礼を言って、店を出ました。タクシーに乗り込む際、お客さんの一人が運転手さんに一言。”最短距離を最低料金で行ってや”。東京だったらドつかれるような一言ですが、運転手さんも慣れている様子。分かった分かったという感じで発車です。
東京では味わったことのない夜でした。
良い一日を!
コメント